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おまたせしました。いさなです。

やまのさんが途中まで書いたものにちょっとだけ書き加えたものではありますが、「結の章:5 part:3」をアップいたします。

細切れにアップしていきたいと思います。

 竜の姿をその目でしかととらえた直後、バレリアンはすぐにくるりと踵を返し、我を忘れて駆け出していた。

「バレリアン卿…!」

 背後から追いかけてくるグリエンダルの呼びかけに、振り向きもせず即座に指示を下す。

「竜を迎え撃つ…! 武器を持て、かたっぱしから兵を集めろ!」

「は、はいっ」

 バレリアンの命を受け、グリエンダルは彼と宮殿内廊下の途中の分岐点で折れ、そのまま全速力で駆けて行った。

 それをちらと横目で確かめ、遠ざかっていく足音を耳にしながら、バレリアンはなおも先を急いで廊下を走り続けた。

「…ったく、我が国の歴史に残るほど重大なる非常事態だってーのによおっ。この期に及んで魔法使いの連中はどうした!? 宮殿の敷地内に竜の侵入を許すなど、結界がゆるんだ証拠じゃないのかっ」

「それは心外この上ない暴言でありますぞ、卿」

「…っ!? あなた方は…」

 すっと音も無く出入り口にほど近い廊下の分岐点から現れた人影の群れの出現に、ぎょっとしたバレリアンはとっさに急停止を試み、その場でたたら踏んだ。 

「あれは我ら王室専任魔法使いが総出で施した絶対守護の結界よ」

「そうとも。ちょっとやそっとでは、たやすく破れるものではないはずぞえ」

「おぬしのような無粋な武人には到底理解できぬ、対究極魔法理論の結晶じゃ。それを愚弄する気か若造よ。何事も憶測で物を申すな」

「…はっ。ああ、そうかい、そうかよ。すまなかったな、俺にはさっぱりのぱーでよおう。だがな、この際そんな御託はけっこうだ。アンタたちにゃこの現実が見えねえってんのかよ…!」

 魔法使いたちのずけずけとした尊大な物言いに、さしものバレリアンもご立腹となったようだ。

 だが、庭に続く扉を開け放ち、ざんっと外に飛び出したとたん、そんな瑣末なことなどすぐに忘れてしまうほどの衝撃的な事実に、思わずその場に立ちすくんだ。

 なんともなれば、竜が。

 バレリアンたちと正面を向いた格好で、宮殿敷地内に着陸した後、お行儀よく鎮座ましましていたのだから。

 そして案の定、竜の足下、地に二の足をつけて降り立っていた人物がいた。しかも二人も。

 彼らは先ほど、バレリアンが目撃した飛び去っていく竜の足にしっかりとしがみついていたその当事者に違いないだろう、きっと。

 何故なら、その彼らの正体とは――。

「やはりあなたでしたか、薬師・ガルオン……」

 バレリアン他、騎士団メンバー、借り出された数十人の兵たち、それから魔法使いらはいっせいに彼らに注目した。

「どういう心積もりか、ガルオンよ」

 竜たち一行を取り囲んだ群衆の中から専任魔法使いの一人がすっと一歩進み出ていく。

 ガルオンもよくよく見知りあるその顔は、まぎれもなく王家専任魔法使いを束ねる長のものであった。

「…この大事な時に何を血迷っておるのだ、おぬしは。我らと質を異にする、かようなイキモノを我が神聖なるこの王宮内の敷地に呼び込む真似などしおってからに…。宮廷付専任薬師という重要な役どころを担う一人として、今回の騒乱を招いた責を取られるそのお覚悟は出来ているのでしょうな」

「お待ちください長よ。私どもは、何もただ闇雲に騒動を起こすつもりで、このような手段を講じて参ったのではありません」

「それでいったいどのような事由があると申すか、おぬしは。さあ、申してみよ。遠慮はいらぬ。答(いら)えよ、ガルオン。ガルオン・ドゥメ・アルトゥン!!」

「……王に」

 ガルオンは呻くように囁く。

「王に、お目通りを願いたい」

 ガルオンの思いもかけない申し出に、一堂揃って呆気に取られてその場で固まった。

「竜を含めた、我ら三名、王との謁見を許諾していただきたく、この度ここに奏上つかまつります次第でございます」

「聞いてられねーな、そんなたわごと」

 魔法使いたちと、突如現われた宮廷付き専任薬師のやり取りを眺めていたバレリアンは、くっと口角を上げ、嘲笑に似た笑みを浮かべる。

「いくらあんたが宮廷付き専任薬師殿であろうとなかろうと、『はいそうですか』なんて、王との謁見の許可などできるわけがなかろうが。しかも三名って……」

 バレリアンは大きく吹き出すと、肩を震わせ笑い出した。

「竜を含めて三名だと? もし王が謁見の許可をされたとしても、そんな莫迦でかい図体の竜が謁見などできるわけがなかろうが」

 もっとも、俺たちがそんなことはさせないがな。

「――バレリアン卿!」

 長となる魔法使いは、彼の非礼を諌めるように声を上げる。

 しかしバレリアンはどこ吹く風と、背後に控える騎士団に目配せをする。

 彼らは心得たといわんばかりに、虹色に輝く竜と薬師である男、そして、まだあどけなさを残した黒髪の少女をぐるりと取り囲んだ。

 場合によっては容赦しない――バレリアンの役目はこのセルリアン宮殿を……このセレスト・セレスティアンを統べる王の守護。相手が何者であろうとも、危険とみなす存在をむざむざと見逃すつもりなど微塵も思っていなかった。

「薬師殿とお嬢ちゃん、あとそのデカイのを拘束しろ」

 バレリアンにとっては当然の対応、だが魔法使いたちは彼の脅迫に値する行動に青ざめた。

「バレリアン卿!」

「責任とか覚悟とか言っているが、あんたらが言いたいのは、つまりはこういうことではないのか?」

 魔法使いたちと騎士団の間に温度差が生じる。ガルオンが自分たちが招いた事態を、どうすればいいのかわからず見守っていたが、竜は完全に傍観の姿勢のままだ。

 しかし、ティーナは押しては引いてと一向に動こうとしない大人たちの姿に半ば呆れ、半ば途方に暮れていた。

 ティーナは覚悟を決めると、一歩前に歩み出た。

「あの、争っている場合はないでしょうか」

 凛とした少女の声――ティーナの声が、冷静さを欠いた大人たちの耳を打った。

「今しも“虚無”がこの国を、世界を、覆い尽くそうとしているのです。こうしている間にも被害が広がりつつあるのです。お願いですから、王様にお目通りを。王様にお会いして、直接伺いたいことがあるのです」

 ですから、どうかお願いします。深く頭を垂れる少女を、長となる魔法使いは今初めてその存在に気づいたかのように目を瞬かせた。

「その子は? その召し物はロータス魔法学院のだな、それではそなたは……」

「はい。申し送れましたがこれは私の娘、ティーナでございます」

 ガルオンが代わりに名乗ると、ティーナな真っ直ぐに顔を上げた。

「お初にお目にかかります、ティーナ・アルトゥンと申します」

 騎士団と兵たちに取り囲まれながらも、ティーナは気丈にも笑顔を湛えて会釈をする。

「この状況でいい度胸だな」

 バレリアンは愉快そうに目を細めるが、双眸には剣呑な光が宿っている。

「だがお嬢ちゃん。お子様は引っ込んでいてくれないかな。ここはお砂場遊びだのおままごとだのやってられるような場所なんざねーんだよ」

 普段のティーナなら、怖気づいてしまうところだろう。だが今はここで引くわけにはいかなかった。
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SUGEEEEEEEE!!!
いさなさんぐっじょーーーーーぶ!!!
あ、なんかすごいvv
ホントに合作っぽくなっていて熱くなりました(笑)フュージョンしてるよコラボってるよ!
ほわああああ! いさなさん本当にありがとうありがとう! 
本当にすまないねえ、ありがたいねえ、たまらないねえ。。。(なんなんだ)
途中まで書きかけの文が見事なまでにちゃんとした形になっていてびっくりですー。
半年以上も過ぎてやっとのことで再開の運びとなりましたが、足掛けそろそろ五年くらいになりますかねコレ
年内には終われることを祈って、ひたすら応援しまくりますので(ヲイヲイ当事者;)がんばりましょうね~。
こっから先、果たしてどんな風に転がるのかがとにかく見物ですよね。。。
先にお渡しした私のプロットでいくと……という展開になるところですが、さてさて実際は♪
とにもかくにも日々の生活の合間合間に書いてくださることに感謝してこの先も楽しみにしておりますね~~~~
やまの URL 2009/05/20(Wed)19:23:07 編集
コラボ
コラボってますか?
ふぃ~よかったです

今回はやまのさんが書いてくださった分がほとんどだったのですが、次回はちょっとアップするまで掛かりそうです。
あちこち手をつけながら…なのですが、ちょこっとずつでも書き進めていきたいと思います。
いさな 2009/05/24(Sun)12:06:35 編集
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