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お久しぶりです、藍川いさなです。
ちょっと短めですが、再び結の章の続きをアップします。
ちょっと短めですが、再び結の章の続きをアップします。
* * *
「確かにわたしはまだ子供です。ですが、ここがセレスト・セレスティアンの中心となる場所、セルリアン宮殿だと十分に心得ています。ですから砂場遊びやままごと場だと思っていませんからご安心下さい」
至極真面目なティーナの返答に、バレリアンは再び吹き出した。
「ちゃんとご理解いただけているようで、何よりだお嬢ちゃん。だったら俺が言いたいこともご理解いただけるだろう?」
ぴたりと笑いをおさめると、バレリアンは冷ややかにティーナを見据える。
「ガキはすっこんでろっていうんだよ。平たく言うと、女子供にうろちょろされちゃあ邪魔って意味だ」
「バレリアン卿!」
魔法使いの一人がが非難の声を上げる。
騎士団と魔法使いに囲まれながらも冷静に振舞い、国の行く末を案じるティーナの姿は、魔法使いや騎士団たちの心を打つものがあった。それを「邪魔」のひと言で片付けてしまうバレリアンに、反発したくなるのも無理はない。
「いくら何でも言葉が過ぎますぞ。それにこの少女は」
「外野は黙れ」
バレリアンは一蹴すると、背後に控える騎士団たちに合図する。ざっと腰に携えた剣を構えると、ティーナたちを取り囲む円周をさらに狭めた。
一連の様子をただ見つめていたティーナは、少し呆れたように口元をゆるめた。
「……やだ」
柔らかな唇から小さな笑みを漏らす。
似ている部分などないに等しい。でも、強引でありつつもどこか真っ直ぐな気質の騎士団長を見ていると、金の髪と青い瞳をした少年を彷彿させるものがあった。
こんな状況でずいぶん呑気なものだと呆れつつ、心に焼きついたラズリの面影がティーナの胸を締め付ける。
――ラズリに会いたいな。
「なんだか……バレリアンさん、わたしの知ってる男の子みたい」
「ああっ?!」
突然何を言い出すかと思えば。少女の意外な発言に、バレリアンは言葉を失った。
すると周囲から――こともあろうに騎士団から笑い声が沸きあがった。
「グリエンダル・ハース」
真っ先に笑い出した青年騎士の名を、バレリアンは冷ややかに呼び付けた。
「お前、何笑ってるんだ?」
「もっ申し訳ありません」
最年少の青年騎士は謝罪しつつも、なかなか笑いが止まらないようだ。小刻みに肩が震えている。
「ただ……団長みたいな『男の子』って、何だか想像つかなくて…………」
「想像するな!」
「あのっごめんなさい!」
ティーナは二人の会話に割って入る。
「莫迦にしているとか、そんなつもりで言ったんじゃなくて……」
自分の失言が余計な争いを起こしていると思うと、慌てずにはいられなかった。
「そっくりとかそういうんじゃないんですよ? ただ自信満々で強引な物言いとか、ちょっと無謀そうなところとか。何となく思い出すなってくらいでして……」
すると周囲の笑い声が一層高まってしまった。
ティーナが必死に弁解すればするほど、バレリアンの表情が険しくなってゆくのが手に取るようにわかってしまう。
もしかして、わたし、墓穴掘ってる?
どうしよう。ティーナは最後の手段に出た。
一歩大きくバレリアンに向かって踏み出すと、勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさいっ! お気を悪くするつもりはなかったんです」
沈黙が訪れる。ティーナが恐る恐る顔を上げると、バレリアンは毒気の抜かれた顔で、やれやれと肩を竦めた。
「…………わかった。いいよ」
仕方がないと言いたげに、バレリアンは軽い調子で王との謁見の許可を下した。
「だが我ら騎士団も同行する。万が一、王に危害を加えるような行動を取ったら容赦なく排除する。いいな」
「ありがとうございます。バレリアン卿」
ティーナが感謝を込めてお辞儀をすると、背後に控えたガルオンも感謝の意を表した。
しかし、今度は魔法使いたちが黙っているわけがない。
「バレリアン卿、勝手は困りますぞ」
長たる魔法使いは、すかさず反論を唱え始める。
「王は今病床におり、とても謁見などできるご様子ではありません。しかも竜が同行など前代未聞です。いくら聖獣と申しましても、所詮は獣です故」
「ほほう。我ら竜族を獣呼ばわりする者が居ろうとはのお。しかもセレスト・セレスティアンの王室専任魔法使いとあろうものが」
まったくをもって、嘆かわしい。
威厳ある重々しい声が、頭上から降り注ぐように響いてきた。
「確かにわたしはまだ子供です。ですが、ここがセレスト・セレスティアンの中心となる場所、セルリアン宮殿だと十分に心得ています。ですから砂場遊びやままごと場だと思っていませんからご安心下さい」
至極真面目なティーナの返答に、バレリアンは再び吹き出した。
「ちゃんとご理解いただけているようで、何よりだお嬢ちゃん。だったら俺が言いたいこともご理解いただけるだろう?」
ぴたりと笑いをおさめると、バレリアンは冷ややかにティーナを見据える。
「ガキはすっこんでろっていうんだよ。平たく言うと、女子供にうろちょろされちゃあ邪魔って意味だ」
「バレリアン卿!」
魔法使いの一人がが非難の声を上げる。
騎士団と魔法使いに囲まれながらも冷静に振舞い、国の行く末を案じるティーナの姿は、魔法使いや騎士団たちの心を打つものがあった。それを「邪魔」のひと言で片付けてしまうバレリアンに、反発したくなるのも無理はない。
「いくら何でも言葉が過ぎますぞ。それにこの少女は」
「外野は黙れ」
バレリアンは一蹴すると、背後に控える騎士団たちに合図する。ざっと腰に携えた剣を構えると、ティーナたちを取り囲む円周をさらに狭めた。
一連の様子をただ見つめていたティーナは、少し呆れたように口元をゆるめた。
「……やだ」
柔らかな唇から小さな笑みを漏らす。
似ている部分などないに等しい。でも、強引でありつつもどこか真っ直ぐな気質の騎士団長を見ていると、金の髪と青い瞳をした少年を彷彿させるものがあった。
こんな状況でずいぶん呑気なものだと呆れつつ、心に焼きついたラズリの面影がティーナの胸を締め付ける。
――ラズリに会いたいな。
「なんだか……バレリアンさん、わたしの知ってる男の子みたい」
「ああっ?!」
突然何を言い出すかと思えば。少女の意外な発言に、バレリアンは言葉を失った。
すると周囲から――こともあろうに騎士団から笑い声が沸きあがった。
「グリエンダル・ハース」
真っ先に笑い出した青年騎士の名を、バレリアンは冷ややかに呼び付けた。
「お前、何笑ってるんだ?」
「もっ申し訳ありません」
最年少の青年騎士は謝罪しつつも、なかなか笑いが止まらないようだ。小刻みに肩が震えている。
「ただ……団長みたいな『男の子』って、何だか想像つかなくて…………」
「想像するな!」
「あのっごめんなさい!」
ティーナは二人の会話に割って入る。
「莫迦にしているとか、そんなつもりで言ったんじゃなくて……」
自分の失言が余計な争いを起こしていると思うと、慌てずにはいられなかった。
「そっくりとかそういうんじゃないんですよ? ただ自信満々で強引な物言いとか、ちょっと無謀そうなところとか。何となく思い出すなってくらいでして……」
すると周囲の笑い声が一層高まってしまった。
ティーナが必死に弁解すればするほど、バレリアンの表情が険しくなってゆくのが手に取るようにわかってしまう。
もしかして、わたし、墓穴掘ってる?
どうしよう。ティーナは最後の手段に出た。
一歩大きくバレリアンに向かって踏み出すと、勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさいっ! お気を悪くするつもりはなかったんです」
沈黙が訪れる。ティーナが恐る恐る顔を上げると、バレリアンは毒気の抜かれた顔で、やれやれと肩を竦めた。
「…………わかった。いいよ」
仕方がないと言いたげに、バレリアンは軽い調子で王との謁見の許可を下した。
「だが我ら騎士団も同行する。万が一、王に危害を加えるような行動を取ったら容赦なく排除する。いいな」
「ありがとうございます。バレリアン卿」
ティーナが感謝を込めてお辞儀をすると、背後に控えたガルオンも感謝の意を表した。
しかし、今度は魔法使いたちが黙っているわけがない。
「バレリアン卿、勝手は困りますぞ」
長たる魔法使いは、すかさず反論を唱え始める。
「王は今病床におり、とても謁見などできるご様子ではありません。しかも竜が同行など前代未聞です。いくら聖獣と申しましても、所詮は獣です故」
「ほほう。我ら竜族を獣呼ばわりする者が居ろうとはのお。しかもセレスト・セレスティアンの王室専任魔法使いとあろうものが」
まったくをもって、嘆かわしい。
威厳ある重々しい声が、頭上から降り注ぐように響いてきた。
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